今回はこびとやのこびとたちのルーツにせまるインタビュー、後編です!
- こびとたちのもう1つのルーツは子供のころに作っていた世界。
- 作品はこびとの世界につながっている。
- 作品を見る人の想像を通して、その人だけのこびとが「完成」する。
※→インタビュー前編はこちら
こびとやのこびとのルーツにせまる!-後編
こんにちは!千代紙です。
前回はこびとやのルーツとして、シシリー・メアリー・バーカーさんの絵本や、妖精の「お隣さん」という考えについてうかがいました。
実はルーツはもう一つあるとのことで、引き続き今回はそちらについてうかがっていこうと思います。
「こびとや」のこびとが生まれた背景には、どのような想いが込められているのでしょう?
子供時代に作った世界
さて、早速ですが、もう一つのルーツをうかがっていきたいと思います。
それはMeiさんの幼少期にある、ということでよろしかったでしょうか?
Meiさん「はい。遊び..になるのかわからないんですが、子供の頃、部屋の中に小さな世界を作っていたんです。工作で作った架空の植物や造花などを並べて『ここは森』、引き出しの中にプラスチックの石(※お祭りなどで売っているもの)やカメやカニなどの水棲動物のおもちゃを並べて『ここは海』みたいに」
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お部屋に!箱庭みたいですね。想像の世界でありながら物理的な..?
Meiさん「はい。ちなみに部屋全体を使ってやっていました。
部屋全体を一つの世界というか村というか…そんなイメージで色々並べて、『窓辺は陽だまりの広場でみんなの憩いの場』『この木の実はみんなの大好きなデザート』なんて空想していました。
設定を考えるのが大好きなので、人形同士の家族構成や職業まで考えたり。
そして、部屋に誰もいない時や私が眠っている時は、人形たちが本当に動いて、本物の世界になっている…という空想をしていました。
こびとやの活動はその時の気持ちに近いです。私が想像するこびとの世界をイラストという形で具現化して、それが本当の『こびとの世界』につながっているんじゃないかと、空想しているんです」
まさにこびとの世界!
箱庭と言ってしまいましたが、お部屋全体..本当に、Meiさんの世界ですね。背景が非常に重厚でしっかりしているように感じます。
お客様の中で完成するこびとたち
Meiさん「でも、実はこびとやのこびとたちを描く際は、あまり背景を細かく決めすぎないようにしているんです。
見てくださる方の想像と混ざって一つの世界になるように…」
なるほど。そこまで想いを巡らせた思想の世界があるにも関わらず、作品にする時は、敢えて「想像する隙間を意識している」ということでしょうか?
Meiさん「そうですね。一応、私の中でも多分こびとはこう、という考えはあるんですけれど、作品にする際はお客様が想像できる余地があるように…と意識しております。
例えば、妖精や妖怪は、語る人や時代によって変化していきますよね?
なんというか、それって、そういう存在を構成する要素の一つに人の想像があるからだと思っていて…。
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また、例えば同じ風景でも感動する人としない人がいたり、心持ちによって『空も悲しんでいる』とか、『なんて優しい雲だろう』とか受け手の中で変化しますよね。
あるいは、純粋に視界の違い。
背の高い人、低い人、視力や色彩感覚…様々な要素で見え方も変わると思うんです。
そんな感じで、こびとも、こびとやの作品自体も、見て下さるお客様自身の見方やイメージで変化するのかな、と思っているんです。
だから、私の知っているこびとと、皆さんが私の作品を通して出会うこびとは違うというか、その人の想像を通して、その人だけのこびとになるというか、そんな感じで考えています」
お客様の中で完成するイメージ、なんですね!
Meiさん「はい。元々けっこうしっかり設定や深いところまで練りこむのが好きだからこそ、それだと自分だけで完結してしまって、見てくださる方が入りこむ余地がないな、と気づいて。
こびとやでは、意識してその余地を作ろうとしています。
私だけの世界でなく、見てくださる方が入りこんで、その方のこびとを見つけてくださって完成、だと理想ですね」
しっかりと根を張っていながらも、完成はゆだねる..。Meiさんには、見てくださる方にも自由にみて欲しいという想いがあるんでしょうか。
Meiさん「そうですね。空とか花みたいな存在が理想でしょうか。
空や花って、人の想像を受け入れてくれる余地があるから、癒される部分があるでしょう?
すがすがしい気分の時に空を見て『応援されている』、ちょっと寂しい時に花を見て『一緒に寄りそってくれているみたい』とか、投影できるからより癒される。
これが、『いや、この空は本当は恋人の月に会えなくて寂しい気持ちなんだ』『いや、この花はさっきまで友達のスズメとたくさんお喋りして話し疲れているんだ』とか、『正解』があって、『正解』に自分の想像を否定されたら嫌だし、癒し効果も半減してしまいませんか?」
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たしかに!癒しの真髄ですね。
私個人としても、こびとやに限らず作品を見る際にはもっと自由に鑑賞して、想像を膨らませた方が楽しいんだろうな、と思わせられます。
「この作品はこうだから、こうみなきゃ」という考えが自分にもあったな、と気付かされました。
Meiさんの世界がしっかりしていることも、こびとやが「絵本みたいだね」と言っていただける作品である裏付けだと感じます。
でも、こびとはどこからかやってきて、Meiさんの世界を通じ、私たちの手元にやってくる。
そしてそれぞれの中で「完成」するんですね。
Meiさん「はい。もちろん、『こういう意図で作られた作品です』『ここはこういう意味です』というのがあり、それを踏まえて観賞したり共感するというのも作品の楽しみ方の1つだと思います。
ただ、こびとやのコンセプトは『小さな幸せと癒しをお届けしたい』なので、こびとやのあり方としては、空や花のようなあり方の方がより皆さまの癒しとなれるのではないかと考えています。
空や花のように、見る人自身の想像を受け入れ、よりその方に寄りそえる存在になれたら嬉しいです」
私も自由な感性で、こびとたちを迎え入れたい!*
以上、前編・後編に渡ってお送りしました「こびとやのルーツに迫る」インタビューでした。
どうかこびとたちが、皆さんの心に寄りそえる存在でありますように!
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